網野　善彦 作品買取

1928年（昭和3年）1月22日ー2004年（平成16年）2月27日　山梨県出身
歴史学者

海民や職人などの非農業民の世界に着目し、従来の農民偏重の歴史学に一石を投じて、新たな日本史像を描き出したと評価される、日本の歴史学者です。

網野善彦は、1928年に山梨県東八代郡御坂町（現：笛吹市御坂町）に生まれました。
網野家は、江戸時代から続く地主の家系で、親類に実業家や政治家が多くいます。

幼少期に東京に移住し、1950年に東京大学文学部史学科を卒業後は、歴史学研究会の委員になる一方で、渋沢敬三（祖父は渋沢栄一、実業家・民俗学者・政治家など務めた人物）が主催する日本常民文化研究所に勤務しました。

研究所では、水産庁から委託された漁村資料の収集を行っていて、歴史研究を基礎からやり直すことを決意していた網野は全国の漁村に残る古文書を読み直していましたが、1955年に水産庁からの予算が打ち切られたことから研究所退職を余儀なくされました。

その後、東京都立北園高等学校の非常勤講師として勤務する傍ら、出版社でアルバイトしながら、中世の荘園研究を続けます。
この時期の研究成果は、1966年に『中世荘園の様相』として刊行されています。

1978年には、『無縁・公界・楽――日本中世の自由と平和』を刊行し、同書は日本歴史学の流れを捉え変えた画期的な名著といわれ、学術書としては異例のヒットを記録しました。

その後、1979年から1998年の定年まで神奈川大学で教授などを務めましたが、2000年に肺がんのため闘病生活に入り、2004年に76歳で亡くなりました。

網野の歴史研究や歴史観は、従来の学界から見るとあまりにも異端であったことから「網野史観」と呼ばれ、従来の歴史学の定説の天皇を頂点とする農耕民の均質な国家とされてきたこれまでの日本像に疑問を投げかけ、その後の日本中世史研究や創作にも影響を与えています。

著書に『無縁・公界・楽――日本中世の自由と平和』『日本中世の非農業民と天皇』『「日本」とは何か　日本の歴史00』など

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