ギュスターヴ・フローベール 作品買取

1821年12月12日ー1880年5月8日　フランス・ルーアン出身
小説家

作品の中から作者の主観を排除し、対象に感情移入しない純客観的で綿密な描写が特徴の文体の作品で、後世の作家にも大きな影響を与えているフランスの作家です。

フローベールは、1821年にフランスのノルマンディー地方の都市ルーアンにて、外科医の子として生まれました。
父がルーアン市立病院の院長をしていたことから、幼少期から死や病を身近に見ながら育ちました。

9歳のころからすでに物語を書くことを試みて、両親に連れられ観劇に行くと劇作家に憧れ芝居の脚本を書くなどをしていました。
ルーアンの王立中学に入学すると、文学と歴史が得意科目で、ユーゴーやデュマ、ヴォルテール、シェイクスピアといった作家の作品を読み、作家を夢見て創作に熱中しました。

1838年より高等学校に入学し哲学科に入り、当初は教授から好かれますがその後の強権的な教授に反発し抗議活動を起こし、退学を恐れた父の判断で学校を辞めることになります。
独学で勉学を続け、1841年にパリ大学に入学し、父の勧めで法学を学びますが、自分の性質に合わない学問に苦しみました。

勉強の傍らに創作にも励みましたが、一時帰郷中に目眩に襲われ意識を失い、パリに戻ってからも発作に見舞われるなどし、事態を重く見た父の判断で法学の勉強を諦め、家族の目の届くところで静養に入ります。
隠棲場所にルーアン近郊の館をあてがわれ、ここで様々な心配事を免れながら、熱望していた執筆活動に集中できる環境を手にします。

その後、平静な生活を送りながらいくつかの作品を書き上げましたが、父の財産管理のお陰で生活には苦労が無かったため出版することは考えずにいました。
しかし1846年に父親が病気で急死、その一ヶ月後の妹も亡くなるなど、不幸に見舞われます。
妹の娘を引き取り、父の遺産からの年金に頼りながら母と姪と３人での生活を始めました。

翌1847年の末ころから、フランスは政治的な混乱に陥り、フローベルも翌48年にはパリのデモに参加し、自らも猟銃を手に国民軍に加勢し、民衆による略奪を目にしました。
パリ市庁舎では共和国宣言を聞き、この頃に目の当たりにした「二月革命」の光景は、のちに『感情教育』という作品で描かれました。

1851年9月からは、姦通を題材にした新たな小説『ボヴァリー夫人』の執筆を開始し、度重なる推敲を経て4年半の歳月を経て完成します。
同作は1856年に『パリ評論』に分割掲載されると反響を呼びますが、姦通を賛美する描写が問題視され、翌57年には風紀紊乱・宗教冒涜の罪で起訴されます。

裁判になりましたが、弁護士の名弁論により無罪を勝ち取り、1857年4月にはレヴィ出版から『ボヴァリー夫人』は刊行されました。
デビュー作でしたが、訴訟事件が起きたことで宣伝効果があり作品は大ベストセラーとなり、フローベールは作家としての地位を確立しました。

『ボヴァリー夫人』後は、過去の作品の改作も行いましたが、作品ごとに膨大な資料を読み込み文体を練り上げる手法から、以後は数年に1作のペースで少数の作品を発表していきます。

1869年には、自らの青春時代をモデルにした『感情教育』を出版しましたが、批評家からの悪評にさらされ、自信作でありながら売れ行きも良くなく、ひどく落ち込みます。
1873年には戯曲『立候補者』を書きますが、興行的にひどい失敗で、1875年には財産の管理を任せていた姪の夫が破産したことのあおりを受け生活が困窮しました。

友人のゾラやツルゲーネフらの奔走で得た公的年金と、ユゴーの働きかけで得た図書館の出向職員の仕事で生活しながら執筆を続け、晩年には新しい世代の作家からも巨匠として認められるようになりましたが、1880年に亡くなりました。58歳没

精緻な客観描写で作り上げる手法はのちの作家に引き継がれ、写実主義から自然主義という文学的な潮流を生み出し、その精密な文体に範を求める作家も多く、世界中の作品に影響を与えています。

代表作に『ボヴァリー夫人』『サランボー』『感情教育』など

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