『兵士シュヴェイクの冒険 全4巻セット』を買い取りしました。

千葉県栄町にお住まいのお客様のご自宅へ、書籍の買取にお邪魔しました。

今回のお客様は、過去にお子様のために買い揃えてきた書籍をまとめて処分したいと、当店の買取査定にご依頼を下さいました。
通常の文芸書の他に、児童書や絵本、学習書が大量にあるとのことでしたので、今回はご自宅へ直接お邪魔して査定を行いました。

児童書などのお子様向けの書籍ですと、年代を超えて長く愛され続けている作品も多く、何度も重版を重ねている作品ですと古書市場でも大変人気です。
成長に伴って読まなくなってしまった書籍があれば、まずは一度当店までお問い合わせ下さい。

今回の買取査定でお譲りして頂きました書籍から、ご紹介するお品は『兵士シュヴェイクの冒険 全4巻セット』です。

本書は、岩波書店から発行された書籍で、チェコの作家ヤロスラフ・ハシェクの代表作『兵士シュヴェイクの冒険』の日本語翻訳版です。

今回は、全4巻セットで収納用の外函もセットの大変良い状態のものをお譲りして頂けましたので、高く評価致しました。

ヤロスラフ・ハシェクは、日本ではあまりポピュラーでは無いかもしれませんが、チェコ文学として2番目に多い58言語にも翻訳されている世界中で読まれている作家で、オーストリアの支配下にあったチェコを舞台にしたこの作品は、軍隊組織や官僚制度、第一次世界大戦をユーモアを交え風刺し、民衆的知恵と抵抗精神を描き、海外では何度も映画化されている人気作品です。

所々ユーモアな挿絵があり、かなり読みやすくなっています。

ジャーナリストとしての経歴もあり、反ドイツ暴動やアナーキスト運動への参加から逮捕や投獄歴もあるなど波乱万丈な人生を送り、第一次世界大戦では捕虜になったこともあります。
晩年は重い病気を患い、また重度の肥満から口述による執筆をしていましたが、1923年に結核のため39歳の若さで亡くなっていて、『兵士シュヴェイクの冒険』は未完となっています。

そんなハシェクですが、チェコでは同国出身のフランツ・カフカと並んで偉大な作家として愛され続けていて、行きつけだったパブの近くには像が建てられ、またチェコ鉄道の列車の名前に「ヤロスラフ・ハシェク」と名付けられるなど、国民的な作家の一人です。

戦争を取り扱っている作品で、少しとっつきにくいかもしれませんが、ユーモアを交えて当時のヨーロッパ周辺の政治関係などが垣間見られる面白い作品となっています