安岡　章太郎 作品買取

1920年（大正9年）4月18日ー2013年（平成25年）1月26日　高知県生れ
小説家

個人や市民の内面を掘り下げた私小説的な作品を数多く発表し、遠藤周作や吉行淳之介らとともに「第三の新人」と呼ばれ、戦後日本の文壇に新風を巻き込んだ小説家です。

安岡章太郎は、1920年に高知県高知市に生まれました。
陸軍獣医だった父の勤務地の異動から、生後2ヶ月で千葉県市川市に移り、その後も香川、東京、韓国・京城（現：ソウル）、青森などを転々としました。

小学5年から東京で暮らしましたが、引っ越しを繰り返したこともあり学校嫌いで、素行不良のため教師の実家である禅寺への寄宿を余儀なくされるなど劣等生で、日本が軍国主義のひた走る時代に落第や病気で青春を送った劣等感は、のちの文学的動機に繋がりました。

浪人生活の後に、当時定員割れを起こしていた慶應義塾大学文学部予科に入学しましたが、1944年に陸軍に招集され、満州に配属されます。
しかし、すぐに肺の病気が発覚し、翌45年に除隊処分となり内地送還され、終戦を迎えます。
所属していた部隊は、レイテ島の戦いに投入され全滅したため、九死に一生を得ました。

戦後は復学しましたが、父が敗戦により失職し、公職にも就けなかったため、家族の生活は困窮しました。
1945年には、結核菌による脊椎カリエスを患い、1949年には寝たきりとなってしまいます。

寝たきりとなり、一時は真剣に自殺を考えるようになりますが、病床で死と向き合いながら少しづつ小説を書き溜め、1951年に発表した『ガラスの靴』が芥川賞の候補となり文壇に注目され、1953年には『悪い仲間』『陰気な愉しみ』により、第29回芥川賞を受賞しました。

1954年に、脊椎カリエスが奇跡的に自然治癒したことから、その後は旺盛に創作活動を行い、吉行淳之介、遠藤周作らと交流し、ともに「第三の新人」と呼ばれ、文壇で活躍しました。

批評家としての評価も高かったことから、芥川賞を始め、大佛次郎賞、伊藤整文学賞の選考委員を務め、2001年には長年の文学活動により文化功労者にも選ばれ、2013年に老衰のため92歳で亡くなりました。

劣等生として過ごした学生時代や、病気のため除隊となった軍隊経験を動機とした、日常を弱者の目線から描いた独自の文学作品は、今なお高く評価されています。

代表作に『悪い仲間』、『幕が下りてから』、エッセイ『僕の昭和史』など

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