アンドレアス・ヴェサリウス 作品買取

1514年12月31日ー1564年10月15日　ベルギー・ブリュッセル出身
解剖学者・医師

16世紀に活躍したヨーロッパで最も有名な解剖学者で、「近代解剖学の父」を呼ばれています。

アンドレアス・ヴェサリウスは、当時神聖ローマ帝国の支配下にあった現在のベルギーの首都ブリュッセルで生まれました。
父のアンドリエスは皇帝マクシミリアン1世の侍医を務めていて、息子であるアンドレアスも幼い頃から医学に興味を持ち、当時の規範であったギリシャ語とラテン語を学びました。

1528年にルーヴァン大学に入学し、そこで修辞学、哲学、論理学などを学びましたが、医学を専門的に学ぶため1533年にパリ大学に移ります。
パリでは、ローマ帝国時代のギリシャの医師であるガレノスの学説を学びつつ、実際の解剖を通じて人体についての知識を得ることに専念しました。

しかし、神聖ローマ帝国とフランスが戦闘となったため、パリを離れルーヴァンに戻りそこで卒業し、その後イタリアのパドヴァ大学に移り、1537年に医学の博士号を取得しました。
博士号取得後は、22歳という若さでパドヴァ大学の外科学と解剖学の教授に任命されました。

当時の解剖学の実習は、講師である学者は講義をするだけで、実際の解剖は床屋や外科手術技能者が担当していたところ、ヴェサリウスは直接の観察を重視した講義で、自らメスを持って解剖を行うという新たな方法を取り入れ、そのわかりやすさから学生の間で評判となりました。

この時期に、近代解剖学の基礎を築くこととなる『人間の身体の構造（通称「ファブリカ」）』を出版し、当時の医学の主流であったガレノスによる説の誤りを数多く訂正しました。
また、『ファブリカ』の図譜の精緻でリアルな絵は、「美術解剖」として芸術の一分野をなすきっかけにもなり、医学のみならず美術分野にも大きな影響を与えました。

『ファブリカ』出版後には、神聖ローマ皇帝のカール5世の侍医となり、戦いでの怪我の治療や検死解剖を行いながら、医学的な問題に関する手紙を執筆していましたが、彼の新しい方法論は古い医療の伝統と対立し、他の医師との間で摩擦を生みました。

また、当時は人体解剖に関してキリスト教の教義による宗教的な制約があり、保守的な学者からの反発でヴェサリウスの研究は攻撃の対象となりましたが、その後もカール5世の息子のフェリペ2世の侍医を務めるなど、名誉ある地位を維持し続けました。

晩年には、聖地巡礼の旅に出る決意をして、家族と離れて孤独な旅に出ましたが、エルサレム巡礼の帰途のイオニア海で船が嵐にあって難破し、漂着したヴェネツィア共和国のザキントス島で病気のため亡くなりました。49歳没

彼の遺した業績は、医学が単なる経験や信仰に基づくものでなく、観察と実験に基づいた科学としての発展を促すものとなり、ルネサンス期における自然科学の興隆と密接に結びつき、医学が科学の一分野として確立される上で決定的な役割を果たし、理論と実績は今なお評価され続けています。

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