井上　光晴 作品買取

1926年（大正15年）5月15日ー1992年（平成4年）5月30日　福岡県出身
小説家

戦争、炭鉱、差別などをテーマに、人間存在の根源に迫る作品を数多く発表し、戦後文学の旗手として活躍した日本の小説家です。

井上光晴は、1926年に福岡県久留米市に生まれました。
職人だった父は各地を放浪して家に寄り付かず、母は光晴が4歳のころに家出をしたため、幼い頃に両親と生別し、祖母に連れられ長崎の佐世保に移りました。

15歳で長崎県崎戸炭鉱で炭鉱員の生活を体験し、この経験がのちの作家人生を決定づけました。

独学で様々な検定試験に合格していて、1945年に電波兵器技術養成所を卒業後は、多摩陸軍技術研究所に勤務しました。

第二次世界大戦後は、日本共産党に入党しますが、1950年に党の内情を描いた処女小説『書かれざる一章』を発表します。
本作は共産党の内部批判を行ったとして注目を集めますが、後に党からは除名されました。

1955年に上京し、吉本隆明や奥野健男らと「現代批評」というグループを結成し創作活動に専念して、1958年には徴兵を逃れようとする青年の心の葛藤を描いた『ガダルカナル戦詩集』を発表して、それまでの党活動を描いた作品から飛躍し作家としての地位を確立しました。

その後は、1960年に被爆者や朝鮮人に対する差別を描いた『虚構のクレーン』、1963年には被爆と差別をテーマにした『地の群れ』など発表し、一貫して虐げられた人々の立場から作品を書き続けました。

1970年に、個人編集誌『辺境』を創刊し、旺盛な創作を続ける中で、1977年からは小説の創作講座「文学伝習所」を佐世保で開講し、その後も全国各地で開講して後進の育成にも力を注ぎました。

1989年に癌告知を受け、晩年は癌と闘病しながら創作を続けていましたが、1992年に大腸癌のため66歳で亡くなりました。

代表作に『虚構のクレーン』『死者の時』『地の群れ』など

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