埴谷　雄高 作品買取

1909年（明治42年）12月19日ー1997年（平成9年）2月19日　台湾生まれ
作家・評論家

約半世紀の歳月をかけた執筆した形而上学小説『死靈』で知られる、戦後日本を代表する文学者です。

埴谷雄高（本名：般若豊）は、1909年に台湾の新竹に生まれました。
幼い頃から体が弱く、常に死を意識していたことから存在に対する不安定さを感じていて、また日本に帰国した直後の13歳の頃に関東大震災に遭遇したことも、精神に大きな影響を与えました。

少年時代はあらゆる文学を乱読し、ニヒリズムとアナキズムの影響を受けるようになり、1928年に日本大学に入学後はマルクス主義に接近して左翼の読書会を組織する一方で、演劇活動に従事しました。

その後、大学を中退しプロレタリア科学研究所農業問題研究会を経て、農民闘争社に入ります。
1931年には日本共産党に入党し、農民闘争のための活動を始めますが、22歳のころに不敬罪および治安維持法違反の罪で逮捕されます。

検挙後は未決囚として豊多摩刑務所に収監されますが、外界と遮断された独房は思索を深める機会となり、西欧の哲学や思想書を原文で読破し、特にカントとドストエフスキーに圧倒的な影響を受けました。
転向上申書を提出して出所後は、経済雑誌の編集に携わりながら同人誌で小説を発表していますが、敗戦まで特高警察の監視が続きました。

終戦後には勤務先の経済雑誌を辞め、文芸評論家の平野謙らと共に文芸雑誌『近代文学』を創刊し、1946年からは形而上学的な主題を繰り広げた小説『死靈』の連載を開始しました。
『死靈』は、全12章を構想した長編小説で、その後約半世紀にわたり書き続ける生涯をかけたライフワークとなった作品です。

小説の執筆とともに、様々な評論や対談なども積極的行い、新人作家の発見や紹介推薦に優れた力を発揮したことでも知られ、無名時代の安部公房の才能を見出し文壇に推し、その他にも多くの新人作家を発掘・育成しました。

1997年に、脳梗塞のため87歳で亡くなり、死の直前まで書き続けた『死靈』は第9章まで書かれたところで未完のまま終わっています。

埴谷雄高が宇宙に強い関心を持ち、寝る前にオペラグラスでアンドロメダ星雲を眺め、思いを巡らせていたことにちなんで、忌日の2月19日は本人が名前を希望した「アンドロメダ忌」とされています。

代表作に『不合理ゆえに吾信ず』『虚空』『死靈』など

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