吉行　淳之介 作品買取

1924年（大正13年）4月13日ー1994年（平成6年）7月26日　岡山県出身
小説家

性を主題に精神と肉体の関係を探り、人間性の深淵にせまる多くの作品が高い評価を受け、また洗練されたエッセイの名手としても知られた、日本の小説家です。

吉行淳之介は、1924年に岡山県岡山市に生まれ、2歳のときに両親とともに上京し、東京麹町で育ちます。
父・吉行エイスケは昭和初期に新興芸術派の旗手と目された詩人で、母・あぐりは日本における美容師の草分け的存在と言われ、NHK連続テレビ小説『あぐり』のモデルとなった人物です。

麻布中学から旧制静岡高校（現：静岡大学）に進みますが、2年進級時に「心臓脚気」という仮病で1年休学し、この頃から文学に興味を持ち始めます。

1944年に、徴兵検査に合格し20歳で招集されますが、入営直後に気管支喘息と診断され即日帰郷になり、翌年にも徴兵検査に合格しましたが、招集前に終戦を迎えました。
その間、1945年4月に東京帝国大学に入学、5月の空襲で焼け出され自宅を失っています。

大学では授業にあまり出席せず、新太陽社で編集のアルバイトをしていて、その後社長の勧めで大学を中退（学費未納のため除籍）、1947年に新太陽社に入社し雑誌の編集に携わります。
この時代に漫画家の小島功と交流し、赤川童太、鈴木義司、富永一朗らを抜擢し、新人漫画家の発掘の天才と言われました。

編集の仕事のかたわら、同人活動にも参加し、『世代』『新思潮』などの同人雑誌に年1作のペースで作品を発表し、同人活動を通して安岡章太郎、阿川弘之、三浦朱門らと知り合いました。

1952年に『原色の街』が芥川賞候補になり、その後も『谷間』『ある脱出』が候補に上りますが、『谷間』の発表後に結核と診断され会社を退社することになり、療養中は生計のためにラジオ原稿を書いていました。

その後、病院での療養中の1954年に『驟雨』が第31回芥川賞を受賞し、これを機に作家生活に入りました。
当時、同世代の作家である遠藤周作、安岡章太郎、三浦朱門、近藤啓太郎らと共に「第三の新人」と呼ばれました。

『原色の街』（1965）、『砂の上の植物群』（1963）、『夕暮れまで』（1965-78）など、耽美な性愛をモチーフにした作品は、タブーとされていた表現を用いつつ、ともすれば下品になりやすいテーマながら美しく文学的に整えられ、優れた純文学として高く評価され、多くの文学賞を受賞しました。

小説のほかにも、『私の文学放浪』（1965）、『生と性』（1971）などのエッセイ類も多く発表し、また長年に渡って週刊誌に対談コーナーを連載し「対談の名手」としても知られました。

1979年に日本芸術院賞を受賞し、その後も数々の病気を克服しながらも執筆を続けましたが、1994年に肝臓がんのため70歳で亡くなりました。

代表作に『驟雨』『砂の上の植物群』『暗室』など

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